ボッシュ師写真アルバムから③ 「ボッシュ・タウンの心?アザレアと学生寮の記憶」

こんにちは。今回の記事では、フランツ・ボッシュ師関連の写真アルバムから、学生寮「ボッシュ・タウン(カマボコ・ハウス)」の写真(『ボッシュ神父関係アルバムNo.10』31頁、請求番号:アルバム3-17-10)に注目します。

 現在、当アーカイブズで所蔵しているボッシュ師関係アルバムは8冊(請求番号:アルバム3-17-3~10)。収録写真の点数は1000枚以上と膨大ですが、ボッシュ師と寮生のふれあいの模様がうかがえるこれらのアルバムから、ボッシュ・タウンの内外装が写っている写真を見つけ出すのはさほど難しいことではありません。そのくらいボッシュ・タウン関連写真の点数が多く、目立つのです。

 そんな数あるボッシュ・タウンの写真から、なぜ今回の2枚の写真を選んだのか。その理由は、写真のキャプションにあります。キャプションに書かれているのは「Azalea“Bosch Townの心”April 1954」という一節。Azaleaは、写真中でボッシュ・タウンの屋外に写っているアザレア(オランダツツジ)の花木を指すのでしょう。アザレアの花は4月から5月にかけて見ごろを迎えますので、「April」とは時期的に符合します。ただ、「Bosch Townの心」とは一体…?

 当アーカイブズでは、学生寮発行の学生寮周年記念誌(10周年~)を所蔵しており、卒寮生や現役寮生、教職員ら関係者による寄稿や談話録が掲載されています。卒寮生の寄稿には、寮内のイベント、学習・サークル活動・部活動・遊戯などの日常等々、時折クスッと笑えるエピソードが織り交ぜられています。舎監を務める教職員や、理事長、学長が学生寮のもつ役割等について語っているのも見逃せません。…けれども、そんな多彩な寄稿文のなかにも、アザレアに関する記述はみられません。謎は深まるばかり。今後ボッシュ・タウンに関する諸史料を博捜していくなかで、手がかりを発見できれば良いのですが…。

 ただ、「Bosch Townの心」の意味するところを探るべく、学生寮の周年記念誌にあたったことは僥倖でした。そこでの寄稿・談話には、学生寮・学生生活に関する記憶が詰まっています。それらは、ボッシュ神父関連アルバム中の写真とあわせて、後生の私たちにとって寮の「アーカイブ」となって、寮へのアクセス・ポイントを提供してくれます。大学に係る諸資料が集まり、記録・記憶を伝えるターミナルとなるのが大学アーカイブズですが、伝え残す記録・記憶の基をつくっていただいた皆さまには感謝してやみません。そんな思いと、諸資料が提供してくれる“?”を活力に、今日もデスクに向かっています。  

〔2022年5月2日、浅野記〕

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